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衆議院復興特別委員会 福島特措法の一部を改正する法律案についての質問

令和4年4月28日(水)衆議院復興特別委員会 福島特措法の一部を改正する法律案についての質問を行いました。

令和4年4月28日(水)衆議院復興特別委員会 福島特措法の一部を改正する法律案についての質問(要旨)

〇 本年3月で東日本大震災の発災から11年を迎えたが、この間の被災地の方々の絶え間ない御努力と関係者の御尽力により、復興は着実に進展しており、仕上げの段階を迎えている。

〇 一方で、福島の原子力災害からの復興・再生にはいまだ課題もあるが、この復興を成し遂げ、その上で、被災地内外の多くの方が住みたいと思う魅力的で持続可能な地域として、福島の再生を進めていかなければならない。

〇 こうした取組をさらに加速させるため、福島を始めとする被災地の課題の解決、延いては世界共通の課題の解決に資する福島国際研究教育機構が重要な役割を果たすものと認識しており、地元からも高い期待を寄せられている。

〇 こうした観点から、この法案について質問する。

問1

〇 これまで、福島では、福島イノベーション・コースト構想に基づく取組が進められてきており、復興予算を活用して様々なプロジェクトの具体化や産業集積に向けた取り組みが進められてきている。

〇 例えば、福島県立医科大学のTRセンターにおいては、新しい感染症の分析にも活用できる独自の技術である「タンパク質マイクロアレイ」が開発され、新たな創薬やワクチン開発への活用も期待されている。

〇 また、南相馬市の工業団地に、遺伝物質メッセンジャーRNAに特化した医薬品・ワクチンの原液製造工場の建設も始まっている。

〇 このように、イノベ構想に基づくこれまでの取組の成果が出てきているこの時期に、機構がしっかりと構想に位置付けられ、素晴らしい相乗効果を発揮することが期待される。今回の法改正により新たに機構を設立する意義について、改めて伺う。

次に、機構の内容について質問する。

問2

〇 機構の研究内容については、①ロボット、②農林水産業、③エネルギー、④放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用、⑤原子力災害に関するデータや知見の集積・発信の5つの分野を実施することになり、こうした研究には、福島における重要な課題である廃炉に資するものも当然含まれている。

〇 このそれぞれの分野について、しっかりとした研究開発の体制を整えていかなければならない。

〇 中でも、放射線科学などの原子力災害の被害を受けた福島だからこそ可能な特色ある研究開発を着実に実施すべきであり、また、福島医大が開発したマイクロアレイなどを始めとする新たな創薬につながる研究開発は、世界中から注目される機構の目玉となると考えるが、こうした機構において目玉となる研究開発をどのように進めて行くのか。

問3

〇 機構は、福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとしなければならない。福島には、双葉町や大熊町など、原子力災害によりいまだに帰還困難な地域があり、機構の立地にあたっては、こうした帰還困難な地域も含めて一体となってまちづくりを進めていくことが必要であると考える。

〇 こうした地域では例えば、今後AI等も活用して、高齢者でも取り組むことのできるスマート農業の技術を活用した復興の取組を進めていくこと、また、ヘルシースマートシティの形成により、原発事故により帰還できない方でも安心して帰ることができる医療体制を提供することも考えられる。こうした取組により、高齢者が集まる地域を形成することで、新たな若者が集まる原動力にもなり得る。

〇 こうした観点から、帰還困難区域も含めて、地域全体でのキャンパスづくりを目指すべきと考えているが、機構を中心としたまちづくりを今後どのように進めていくのか。

問4

〇 機構を設立することにより、我が国全体の科学技術力の強化に資することも重要である。

〇 5つの研究開発分野が掲げられている中、科学技術力の強化の観点から、文部科学省及び総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が強力に機構の取組を後押しすることが必要であり、同時に、例えば、ICRPやUNSCEAR等の放射線に関する国際機関を誘致するなどの、世界中の研究者や学会と連携する取組が必要であると考える。

〇 科学技術力の強化に向けて5つの分野の研究開発をしっかりと支えるための体制づくりに、文部科学省やCSTIはどのように取り組むのか。

問5

〇 機構は、単に研究開発を進めるだけではなく、地元福島の経済活性化に貢献しなければならない。

〇 例えば、南相馬市では、ロボットテストフィールドにおける産業集積により、100の企業や団体からなる南相馬ロボット産業協議会が設立されるなど、地域経済の活性化につながっている。

〇 復興庁として、研究開発の成果を地元福島の経済活性化につなげていくため、この機構とどの様に連携して効果を上げていくのか。

問6

〇 機構の人材育成の取組は極めて重要。

〇 大学院との連携のみならず、例えば、創薬分野であれば新薬開発のためのプラットフォームづくり、そして、従来の薬学部ではできなかった新薬開発を進めていくことにより、創薬の大学院を目指すことも一つの方法である。

〇 また、放射線科学分野であれば福島だからこそ可能となる廃炉の研究を進めることにより世界で通用する人材育成を進めていくことなど、幅広い取り組みが必要であると考える。

〇 機構には大学院と同等又はそれ以上の教育機関としての役割を持たせるべきと考えるが、今後、機構として具体的に人材育成の取組をどのように進めるのか。

問7

〇 福島には、イノベーション・コースト構想などに基づき、福島県立医科大学のTRセンターや、産業技術総合研究所の福島再生成可能エネルギー研究所(FREA)などの研究施設が立地しており、また福島大学の放射線研究や土壌調査など、様々な研究開発の蓄積ができてきている。

〇 今回新たに設立する機構は、「創造的復興の中核拠点」として、こうした福島に既に立地している研究施設等の取組について横串を刺す調整機能を持った強力な司令塔として、福島における研究開発の中心的な役割を果たしていかなければならない。

〇 そのためには、福島の既存の研究施設を可能な限り機構に統合しつつ、他の既存施設との連携も含め、地域一体となった取組を進めていくことが必要と考えるが、どのように取り組んでいくのか。

問8

〇 機構の予算や人員の規模はどの程度を想定しているのか。

〇 世界に冠たる研究開発を推進するためには、他の研究機関にも引けを取らない人員を確保するとともに、思い切った予算措置が必要である。

〇 機構の活動が本格的に軌道に乗った後は、外部資金も含めて十分な研究資金を確保して長期・安定的に運営できるような規模とすることが必要と考えるが、見解を伺う。

問9

〇 研究開発は単年度で成果が出るものではなく、世界最先端の研究開発を研究者が安心して進めるためには、長期・安定的な研究資金の確保が不可欠である。

〇 機構の運営費を支え、複数年度にわたる研究開発等の取組を円滑に実施することのできる長期・安定的な財源を、今後どのように確保していくのか。

問10

〇 機構は、将来にわたって持続的に活動できるのか。

〇 復興庁が廃止となった後も、政府として責任をもって福島の復興を推進し、さらには我が国の科学技術力や産業競争力の強化を牽引して世界に貢献できるような、長期的な展望を持って、安定的に組織を維持することができる体制を政府全体で構築することが必要と考えるが、どのように取り組むのか。

問11

〇 世界に冠たる研究開発を実現するため、理事長をはじめとする役員の人選が重要である。

〇 放射線科学・創薬医療分野をはじめとして専門性の高い研究開発を行うことから、研究分野についての高い知見を有する者をしっかりと機構内部に取り込んでいくことが必要と考える。

〇 福島においても、震災の発災後からの11年間において、多くの方が真剣に研究開発に取り組んできた。

〇 こうした方々の知見を機構の運営にしっかりと生かしていくことが必要であると考えるが、役員の人選や、専門性の高い研究開発等の分野における有識者の活用にどのように取り組んでいくのか。

問12

〇 機構が国内外に誇れる研究開発を推進するためには、国内外から優秀な研究者が参画することが重要であるが、世界トップレベルの研究人材については、国際的な獲得競争が激化している。

〇 こうした中で、機構の立地が予定されている福島浜通り地域に世界レベルの研究者を呼び込むためには、機構のキャンパスが重要な位置付けを占める。

〇 ヘルシースマートシティの形成やイノベーション・コースト構想の推進など、様々な取組の合わせ技で、新たな時代にふさわしい研究環境を構築することが必要と考えるが、世界レベルの研究者を呼び込むためにどのような研究環境を用意するつもりなのか。

問13

〇 この環境整備について、改めて大臣にもお尋ねする。

〇 優秀な研究者やその家族を呼び込むためには、医療・介護、買い物環境、教育、交通アクセスなど、生活環境の整備が不可欠である。現在帰還困難となっている地域も含めたまちづくりと併せて、生活環境の整備にどう取り組んでいくのか。

〇 本機構の実現に向けては、数年にわたり政府において検討が進められ、地元の期待も高まっている。

〇 本法案が成立すれば、いよいよ設立に向けて本格的な作業が動き始め、その姿が見えてくる。この機構が実現することで、世界中の国々から、「研究開発の福島」という認識を持っていただくことを期待しており、世界に冠たる福島の実現を目指したい。

〇 引き続き、政府においては、地元からの高い期待を受け止めつつ、政権の最重要課題という意識を共有して、一体となって取組を進めていただくようお願いする。

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